◆辰市神社 (たついちじんじゃ)

鎮座地

奈良市杏町64

電 話

0742-62-3240(宮司宅)

交 通

交通JRまたは近鉄奈良駅から奈良交通バス八条町経由杏行終点下車、徒歩3分

【御祭神】武甕槌命、経津主命
【由 緒】 辰市神社はもと、神宮神社とも鴻宮とも称した。祭神は春日大神であり、常陸国鹿島明神と下総国香取明神との二座である。
 神護景雲2年、春日大神が三笠山へ鎮座されたが、後に侍従の社司中臣時風・秀行がその住居たるべき地を神託に依って西南の方へ神木を投じ、その落ちる所と卜定した。辰市郷中のこの地に落ちた所に居住し、春日神木を崇んで奉斎した神宮社が、今の辰市神社である。
 社殿は天正年間に、筒井順慶と松永久秀との戦火によって、南門・拝殿・神楽所・移殿等は焼失した。その後、慶長の乱などがあり、神事・神楽も中絶してしまったが、享保2年(1717)から再興され、明治・大正にかけて社殿や境内が復興した。そのことを記した「神宮社記録』が残っている。
 以前は、頭家渡りなどの祭りには、甲冑を着け、乗馬の渡御行事があった。本殿は流れ造りで扉が2つある。神條所もあって、神域を画してブロック塀が設けられた。前に整然と並列した礎石が10個ある。ここには、桁行5間余り、梁行1間半の門長屋と呼ぶ拝殿があった。
 なお、当社の南、道路をへだてた約100メートルの所に「時風神社」がある。先述の春日初代の神官、中臣時風と秀行の霊を祀ってある。現在はこの道路が境で北の辰市神社は杏町、南の時風神社は西九条町と分かれたため、宗教法人としての神社の登録も別々になっているが、古い由緒の上からは時風神社は辰市神社と一体の社であった。
 従って以前は春日本社の時風・秀行の子孫に当る神官は当社の例祭や造替時には必ず辰市神社・時風神社にはお参りしたもので、その時の古記録が今日春日大社に残っている。
【宝 物】神宮社記録1部/木造狛犬1対
【例祭日】10月10日